ミーンミンミンミンミンミン

小さな森の端っこ

セーラー服を着た

黒髪の少女が

額の汗を手でぬぐいながら

太陽を見上げている

その姿は

陽炎のように揺らめいて

今にも消えてしまいそう

「あの・・・」

僕が声をかけると

ゆっくりと振り向いた

少女は微笑むと

背中を向けて歩き出した

「あっ・・・」

少女が立っていた場所

小さな鈴が落ちていた

拾い上げると

小さなかわいい音がした

「ありがと」

いつの間にかすぐ横で

少女が手を差し出して立っていた

少女の手に鈴を乗せるとき

冷たい掌に少し触れた

「君は・・・」

少女は大事そうに鈴を握りしめて

握った自分の手を眺めながら微笑んだ

「ここで、何してるの?」

「太陽と背ぇくらべ」

「太陽と?」

「だって、太陽をこんなに近くに感じる」

「・・・」

さっきと同じように

少女は額の汗をぬぐってから

太陽を見上げた

「こっち・・・、おいでよ」

鈴を握りしめたままの手と反対の手を

僕の方に差し出した

「あの・・・」

少女は微笑んで

僕の手を握りしめた

森の奥の方へ

歩き始めた

小さなかわいい鈴の音が響いた